農業者インタビュー
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地元の人に喜んでもらい、地域の活性化に貢献できるイチゴ農家をめざしたい

福岡市東区勝馬 上田真基さん(41歳)

 今回は、令和3年3月に志賀島農業研修施設を修了し、地元の志賀島でイチゴ農家として就農した上田真基さんにインタビューしました。(令和3年5月取材)

Q)前職は何をされていましたか?就農を決めたきっかけは?

 前職は、関東の外食チェーン会社で、活魚の買い付けや管理をする部署の課長をしていました。全国各地から様々な魚を大量に仕入れて、どの店舗にどのくらい送るかを決めたりする仕事だったので、やりがいもあり面白かったです。ただ、勤務時間は夕方から朝方までと、一般的な会社員とは全く違うものでした。友人と飲みに行くこともなく、妻との生活リズムも合わず、昼夜逆転の生活を送っていました。

 就農のきっかけは、5年ほど前に兼業農家の父が亡くなったことです。私が農地を管理することになり、初めは、母が米を作っている田んぼを管理するだけと思っていましたが、「せっかくなら農業をやろう」と考え、就農を決めました。妻も長崎出身なので、九州に戻れるということで賛成してくれました。JAの「志賀島農業研修施設」は、地元で就農の相談をした際に知りました。イチゴ栽培が大変なことは、近所の農家さんを見て昔からよく知っていたので、初めは違う品目での農業を考えていました。しかし、研修施設で就農までしっかりサポートが受けられること、そして地元出身の自分がイチゴ栽培に一から取り組むことで、地元の人に喜んでもらいたいという思いもあり、イチゴに品目を絞って就農することを決めました。農地は、離農したイチゴ農家さんから苗床とハウスの敷地を借り、使える設備はそのまま引き継いで使っています。

Q)研修を受けて良かった点は?就農して感じたことは?

 子どもの頃からビワの袋かけや稲刈りの手伝いはしていましたが、イチゴに関しては全く知識がなかったので、研修施設でイチゴ栽培の基礎的な知識や作業を学べたことは、とても良かったと思います。

 就農後は、地元の方がハウスの前を通って、よく声をかけてくれるので、見守ってくれているなと感じます。長年イチゴ農家をされている方には、「まさか一緒にイチゴを作ることになるとは思わなかった」と驚かれました。地元には、高齢のため離農した元イチゴ農家の先輩方も多くいます。そんな皆さんが進んでアドバイスをくれるので、「地元のためにも頑張ろう」というモチベーションにつながっています。

Q)今後の目標や夢は?

 当面の目標は、ハウスを増やして収入を安定させることです。昨年は6.5アールの敷地に2棟のハウスで、約4600株を栽培しました。今年は、約10アールの敷地に3棟のハウスで、約6900株を栽培する予定です。今は、共販と愛菜市場への出荷に集中していますが、収量が安定したら、将来的には志賀島の特産品作りにも挑戦して、地域の活性化に貢献したいと考えています。

 私の祖父母は、志賀島でイチゴ栽培が始まった頃、勝馬に栽培技術を導入した人だといわれています。祖父のイチゴは美味しく、行商でも人気だったと当時を知る人が教えてくれました。そんな祖父母が喜んでくれるようなイチゴ農家になれるよう頑張っていきたいです。

上田さんのイチゴは、農産物直売所「愛菜市場」にも出荷されます。天候や収量によって出荷時期や出荷量は変わりますが、今年育てているイチゴは、来年の1~4月頃に出荷・販売される予定です。上田さんが愛情込めて育てたイチゴをぜひ味わってみてください!