人とのつながりとコミュニケーションを大切に品質の良いブドウ作りに挑戦したい
福岡市博多区月隈 関裕崇さん(33歳)
今回は、福岡市博多区月隈でブドウを栽培する関裕崇さんにインタビューしました。関さんは2022年4月に就農。家族と3反の作付面積で巨峰やピオーネ、シャインマスカットなどを栽培し、主に市場へ出荷しています。
家族のブドウ栽培を手伝って感じたやりがい
自宅のそばにブドウ畑がある環境で育った関さん。「祖父の代に栽培品目を桃からブドウに変えたと聞いています。子どもの頃からブドウは身近なものでした」と話します。5歳頃から高校まで剣道を続け、大学ではアメフト部で汗を流し、卒業した今もコーチとして後輩の育成にあたっています。小学校の頃から理数系の教科が好きだったこともあり、工学系の大学・大学院に進み、粉体シミュレーション(コンピューターを使い粉体の挙動を数値的に解析して可視化する技術)を研究しました。卒業後は広島で就職。造船業の会社で工場管理の仕事を3年ほど経験した後、福岡に戻り就農。ブドウ栽培に日々取り組んでいます。大学時代から手伝いを通して、ブドウ栽培の魅力を感じていた関さん。「手伝いという立場でしたが、ネット等でブドウに関する論文を読んで自分なりに研究するなど、ブドウ作りに楽しさとやりがいを感じていました」と話します。
いつも買いに来てくれるお客さんも大切にしたい
市場や直売所への出荷以外に、両親の友人や知人に直販することもあり、「ブドウを買いに来てくれるお客さんとの会話が励みになっています」と話す関さん。父の富昭さんも「都市型農業を続けていくためには、消費者と最短距離でつながることが大切」と話します。大規模栽培ではないため、販路や新規顧客を増やせないぶん、オリジナルハガキを配るなど、常連客に「買ってよかった」と感じてもらえる工夫をしているそうです。今後は、好みのブドウを選んでもらえるよう、栽培品種を増やしたいという目標もあります。
就農して感じた「コミュニケーションの楽しさ」
就農して1年。家族のブドウ栽培を手伝う立場から、本格的に自分が栽培する立場になって感じたことは「人とのコミュニケーションの楽しさ」だといいます。「ブドウ栽培は枝や花、房などの管理を一人で黙々として、人と会話することがほとんどありません。直販のお客さんやブドウ部会の農家さんと話すと、『人と会話するって楽しいな』と改めて感じることがあります」と笑顔で話します。また、病害虫についても、想像以上に知らないことが多かったそうです。「特に印象的だったのは虫ですね。手伝っていた頃は見かけたことがなかった虫を何種類も見かけ、ブドウにどのような影響を与えるのかを身をもって学びました」。
品質の良いブドウを消費者に届けたい
今後の目標は、品質の良いブドウを作ることと、栽培品種を増やすことだそうです。「昨年は房の管理が上手くいったので、今年もより良いブドウができるようしっかり管理し、より高品質のブドウを育てたいです。栽培品種に関しては、今の栽培状況を見ながら少しずつ生産を増やしていけたらと考えています。また、農作業の効率を上げる工夫にも挑戦したいと思っています。可能なものはデジタル技術を導入するなど、自分の知識と経験をブドウ作りに活かしていきたいです」と話してくれました。
関さんが育てたブドウは、父の富昭さんの名前で農産物直売所「愛菜市場」にも出荷予定です。出荷時期は8月頃からを予定しています。販売時期や出荷量は天候等により変わります。予めご了承ください。
(令和4年8月取材)