青ネギ『箱崎小町』を守りつつ、新たな野菜づくりにもチャレンジしたい
福岡市東区箱崎 川嶋康久さん(29歳)
今回は東区箱崎で青ネギ『箱崎小町』を生産する川嶋康久さんにインタビューしました。康久さんは23歳で就農。約2反の栽培面積で父の仁さんとパートの方々で青ネギを生産し、市場に出荷するほか、福岡市内の学校給食にも供給しています。
就農を意識していなかった子ども時代 大学受験を機に就農を決意
農家の次男に生まれた康久さん。子どもの頃から農業を身近に感じて育ちました。「小学校の頃から青ネギの袋詰めなどを手伝っていました」と話します。漫画やテレビゲームが好きな子どもだったそうで、「当時は、就農について深く考えていなかったので、将来の夢は漫画家でしたね」と笑います。康久さんが親から農業を継ぐ、と決心したのは高校生の頃。今後の進路を考え、「農家になるなら、専門的な知識が身に付く大学へ行こう」と、東京農業大学への進学を決めました。
大学では営農や6次化産業など、総合的に農業を学びました。インターンシップでは、栃木県のイチゴ農家に10日間泊まり込みで研修を受けました。「防除作業などの力仕事がメインでしたが、農業を実践的に学ぶ経験ができました」と振り返ります。大学卒業と同時に地元へ戻り就農。「大学では座学中心だったので、現実とのギャップを感じることもありました」と話します。父から青ネギ栽培を一から教わり、少しずつ農作業を任されるようになり、就農7年目の今では、ほとんどの作業を康久さんが担っています。
消費者へより良い品質の青ネギを安定して届けたい
青ネギ『箱崎小町』は、住宅街にあるガラス張りのハウスで水耕栽培しています。気候や天気にほとんど左右されない環境で、灌水や施肥は機械を使って管理して育てるため、年間を通して安定した出荷ができます。
「より良い作物を作るために工夫し、育てています。次作への改善点を見つける、という作業が農業の最大の魅力だと感じています」と話す康久さん。株間の風通しを良くするために植え方を変えるなど、品質向上のために試行錯誤する日々です。「栽培管理のほかにも、収穫後にネギの長さをサイズ別に揃えたり、余分な葉を取りきれいに整えたりと、出荷作業にも時間がかかります。普段は朝6時から夕方6時まで働き、休みは週1日くらいなので、これからは働き方を工夫したいですね」と話します。
『箱崎小町』ブランドを守りつつ、新しいことにも挑戦したい
今後の目標は「農業収入のアップと人手不足の解消」という康久さん。父の仁さんからは「他に作りたいものがあれば作っていいよ」と言われているそうです。また、パートさんの高齢化も課題。「世代交代の時期ですが人材のマッチングに苦戦しています。父が築き上げてきた『箱崎小町』のブランドを守りつつ、少人数でも農業収入が上がる新しい品種栽培にも挑戦し、将来の展望をはかっていきたいです」と力強く話してくれました。
(令和5年7月取材)