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100年続く「三苫のイチゴ」 人を笑顔にするイチゴを作り続けたい

福岡市東区三苫 堺 勇樹さん(36歳)

 今回は東区三苫でイチゴ、米、野菜を生産する堺勇樹さんにインタビューしました。勇樹さんは25歳で就農し、現在は計92アールの農地を両親(父 博隆さん、母 里子さん)と3人で管理しています。勇樹さんから、就農までの経緯や地域農業への想いを伺いました。

「中学を卒業したら農家に」 幼少期から持ち続けた就農への想い

 農家の長男に生まれた勇樹さん。幼少期からイチゴの出荷箱を折ったり、荷物を運んだりと家業を手伝う傍ら、近所の友だちと外で遊び、地域の人の輪の中で過ごすことが多かったそうです。「性格はインドア派なのに、何故かアウトドアな思い出が多いです」と思い返します。農業が身近な環境の中で育ったため、自然と「自分も農業で生きていく」という気持ちが幼いときにはすでに固まっていたそうです。「本当は中学を卒業したらすぐにでも就農したかった」と話すほど、農業に魅力を感じていましたが、家族の助言で高校へ進学後、就農を視野に入れて東海大学の農学部で学びました。大学卒業後は当JAに入組し、2年半ほど営農経済事業の業務に携わった後に就農。現在はJA青壮年部の部長を務め、地元小学校の稲作学習の指導など地域農業を支える若手農家として活躍しています。

手間をかけた分だけ応えてくれるのが農業の魅力 少人数でも安定出荷できるよう栽培にひと工夫

 勇樹さんが感じる農業の魅力は、米や野菜を自家栽培し、食糧が確保できる安心感。また、日々の農作業では自分のペースで時間配分ができ、趣味の時間も確保しやすいこと。更に、自分が頑張った分だけ成果が出ること、だそうです。「気候や病害虫による農作物の影響は毎年変わるため、課題への対応策を考えてクリアしていく楽しさがあります」と話します。現在の主力作物であるイチゴは、「あまおう」と「紅ほっぺ」の2種を早期作型と普通作型で栽培し、11月頃から順次収穫を始めます。収穫期間が異なり、長期間にわたり安定出荷ができること、また、市場価格が高い時期から出荷できるため所得向上にも繋がっています。「最近は加工業者にも出荷できるようになり、廃棄量が減りました」と嬉しそうに語ります。

効率的な農作業を追及して大好きな三苫のイチゴを作り続けたい

 今後の課題は農作業の効率化で、「今は両親も元気で一緒に作業していますが、将来的には一人で担うことを想定して、いかに作業量を減らすかを工夫しています」と勇樹さん。現在、イチゴ畑で導入しているのは「不耕起栽培」です。通常はトラクターで耕起して畝を立てる作業を毎年行いますが、勇樹さんの畑では苗を植える部分だけを耕して栽培し、作業時間の短縮や身体的負担の軽減をはかっています。将来的には作業量を減らすために耕作面積を縮小する可能性も考えているそうです。それでも「三苫のイチゴ栽培は100年の歴史があります。我が家も曾祖父の代にイチゴの栽培を始め、私にとっては物心つく頃から身近にあった農産物です。就農して10年以上経ちますが、イチゴは人を笑顔にすると感じているので、これからもイチゴだけはずっと作り続けたいです」と力強くイチゴ栽培への想いを語ってくれました。

 勇樹さんが作った農作物は、愛菜市場、エフコープ(舞松原店、新宮店)、マックスバリュ(香椎店)、フードウェイ(アイランドアイ照葉店、トリアス店)などで販売しています。野菜の種類等は季節により異なります。また、イチゴの販売は11月下旬頃から始まる予定です。販売期間や出荷量は天候等により変わります。予めご了承ください。

(令和5年9月取材)