JAの農業研修を経て就農 家族と協力しながら計画的なイチゴ栽培
福岡市東区志賀 梅津太一朗さん(43歳)
今回は、就農3年目を迎えた梅津太一朗さんにインタビューしました。梅津さんは志賀島農業研修施設を修了後、志賀島に就農。0.5反の作付け面積でイチゴ(あまおう)の栽培をスタートしました。現在は作付け面積を0.8反に増やし、妻の晃子さんと家族経営協定を結んで、互いに協力しながらイチゴ作りに取り組んでいます。
(令和4年8月取材)
就農のきっかけは「目に見えるモノを売りたい」
福岡市出身の梅津さん。子どもの頃は、農業に触れる機会はなかったといいます。中学・高校の6年間は陸上部に所属し、長距離走に汗を流していました。「部活で培った持久力が、今も生きているかもしれません」と笑いながら話します。今年は友だちと一緒に福岡マラソンに出場する予定で、時間を見つけてランニングをしているそうです。
環境に興味を持ち、大学では農学部で環境エネルギーについて研究。この時に学んでいた作物や肥料の知識が今のイチゴ栽培にも生かされています。
前職では再生可能エネルギー事業に携わり、事業のシミュレーションや調査を行っていた梅津さん。環境保全につながる仕事にやりがいを感じていた一方で、「目に見えるモノを売る仕事がしたい」という思いを持っていたといいます。そんな中、仕事でイチゴ農家について調べる機会があり、農業に興味を持ったそうです。国の支援制度や研修施設を調べ、2019年に当JAの志賀島農業研修施設に入校。約1年の研修ののち、2020年春に志賀島でイチゴ農家として就農し現在に至ります。
計画をしっかりと立て就農
「就農前に計画をしっかりと立てて臨んだ」と話す梅津さん。自分たちの体力面を考慮し、狭い面積で効率的に作ろうと計画を立てたことが、体力面での負担を軽減してくれたといいます。
取材した8月中旬は、イチゴの苗を育てながら、苗を植えるハウスの土づくりの真っ最中でしたが、午前中で終わるようにスケジュールを立て、農業設備を効率よく使い作業をしていました。
家族の協力に感謝
現在は妻の晃子さんと協力しながら作業にあたっている梅津さんですが、73歳と70歳になるご両親のサポートにもとても助けられているといいます。「両親の体力づくりにも役立っているといいなと思います」と笑顔で話します。就農時は小学4年生と中学1年生だったお子さんも、今年それぞれ中学校と高校に進学。高校生のお子さんは、友だちを誘ってイチゴ狩りに遊びにくることもあるそうです。
精神的な辛さを経験
やりがいは「出来がいいイチゴを多く出荷できた時」だそうで、最盛期の1~3月は特に嬉しいそうです。一方で、4月以降はイチゴがやわらかく、収穫が間に合わないことも。「昨シーズン、収穫できないイチゴが大量に出たときが精神的に一番辛かったです。体力面の大変さは想定していましたが、想定していなかった精神面の辛さを経験しました」と当時を振り返ります。
美味しいイチゴを届けたい
農業をするにあたって心がけていることは、「イチゴをよく観察すること」「経験年数に関わらず、イチゴ作りをしている人の話を聞くこと」で、次年度の作業に生かせるよう細かく観察し、失敗も含めて経過を記録しているそうです。「今は新規就農の助成など、支援してもらいながら農業ができているので、失敗を恐れず試せることはチャレンジしたいです。そして、独り立ちしたときに農業を続けていけるよう経験値を伸ばしていきたいです」と前向きに話します。
今シーズンは、「反あたり4トンの出荷をめざしたい」と具体的な目標を掲げ、12月下旬を目途に出荷を始めたいと話します。「いいイチゴが出来れば、売り上げもついてくるので、収量を上げられるよう頑張りたいです」と意気込みを語ってくれました。
梅津さんのイチゴは、農産物直売所「愛菜市場」にも出荷されます。天候や収量によって出荷時期や出荷量は変わりますが、来年の2月頃から4月頃まで出荷・販売される予定です。
梅津さんが丹精込めて育てたイチゴを、ぜひ味わってみてください!