志賀島の大地の恵みとスマート農業を取り入れ育てたあまおうを多くの人に届けたい
福岡市東区勝馬・旬果収島 代表・上田真基さん(44)
志賀島でイチゴを生産する上田真基さんにインタビューしました。JA福岡市東部志賀島農業研修施設でイチゴ栽培を1年間学び、就農して4年になる上田さんに、地域農業や地元志賀島への思い、イチゴ栽培のこだわりについて伺いました。(令和7年2月取材)



地域の人に支えられて4年
次世代農業を担う一員としての思い
農業の厳しさを実感しながらも、先輩農家からアドバイスをもらったり、声を掛けてもらったりと、地域の方々に支えられていると話す上田さん。この4年で販路を広げ、市場出荷のほか、和白の農産物直売所「愛菜市場」や地元スーパーにも出荷しています。また、3年前にスタートした「勝馬ルシェ(志賀島で月一回開催)」への出店をきっかけに、旬の美味しさを多くの人に届けたいという思いから「旬果収島(しゅんかしゅうとう)」という屋号を付けて販売を開始しました。さらに、地元の飲食店(浜幸家・イワタクレープ)と協力して上田さんのイチゴを使ったメニューを作るなど、農業を通じて志賀島の次世代を担っています。最近では、高齢で離農したイチゴ農家の方から個人販売のお客さんを引き継ぐまでになり、リピーターも増えてきたそうです。「お客さんから『上田さんのイチゴが一番美味しい』と言ってもらえると嬉しく、日々の苦労が報われます」と、顔をほころばせます。
最新のスマート農業を駆使して育てる
こだわりのあまおう
上田さんは「土で育てるのが一番美味しい」と、地植えにこだわって栽培しています。「就農1年目のイチゴ作りはとてもうまくいきました。今思えば奇跡でしたね」と笑いながら当時を振り返る上田さん。しかし2年目以降は、コロナに罹患し苗作りがうまくできなかったり、苗の病気や生育のばらつきで思ったように収量が上がらなかったりと、毎年のように様々な課題に直面していますが、お客さんに喜んでもらえるようなイチゴ作りを常に追求しています。
現在は様々な栽培方法を試している時期で、先入観を持たず、皆が良いと勧めてくれるものは積極的に取り入れ、自分に合った栽培方法を選ぶようにしています。昨年6月からはスマート農業を試験的に導入し、最新の農業技術を取り入れました。AIを活用してイチゴハウス内の温度や湿度を遠隔で確認・管理できるようになったことで作業効率が向上し、時間を有効に使えるようになりました。また、温度とCO2のバランスを取る難しさを再認識し、より良い栽培環境を整えるためのデータ活用を模索しています。「土壌栽培にこだわった美味しいイチゴ作りを続けること、自分自身の栽培スタイルを早く確立し、安定した出荷をすることが目標です」と語ります。
現在は3棟(1反)の連棟ハウスに約5,500株を植えていますが、次作では隣の空きハウスも使って5棟(1反6畝)に約9,000株を植える予定です。将来的には、イチゴが作れなくなった方に空き農地を任せてもらえるような、地元で頼られる農家になりたいと話す上田さん。地域農業を担い、地元志賀島の活性化に挑む上田さんの5年目の春が始まります。